起伏量(読み)きふくりょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「起伏量」の意味・わかりやすい解説

起伏量
きふくりょう

地形学用語。一定範囲内の高低差を表す指標。3種の表現方法がある。(1)単位面積内の最高点と最低点との高度差。(2)隣接する山頂谷底との比高。(3)切峰面と切谷面との高度差。一般には(1)の方法を採用することが多い。(1)で単位面積を小さくとると、結局は傾斜と同じような指標になる。単位面積のとり方には種々なくふうがなされ、成長曲線による方法が代表的である。起伏量の分布により地形分類が可能である。

[髙山茂美]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「起伏量」の意味・わかりやすい解説

起伏量
きふくりょう
relief energy

地表面の起伏の程度を表現する量。一般に単位面積内の最高点と最低点との高度差で表わす。この場合,単位面積を方眼でとる場合や円でとる場合などがある。そのほか相接する山頂と谷底との高度差で表現することもある。起伏量の等値線を描き,起伏量の分布を表わした図を起伏量図という。

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世界大百科事典(旧版)内の起伏量の言及

【丘陵】より

…ふつうは多摩丘陵,千里山丘陵のように稜線が幾重にも重なり,丘陵地としてまとまって広がる。稜線高度は標高300m以下で,稜線と隣接する谷底との高度差(起伏量)は100m以下,細密な谷に刻まれ肢節が細かい。稜線は瘦せているが定高性を保つので,遠くから望むと平たんな感じを与える。…

【地形】より

…そこで例えば主要な山稜と隣接する主要な谷との間の距離を1辺とする方眼を,その地域にあてはめる単位面積と考えて,方眼ごとに高度差を求める。これを起伏量local relief,relief energy,available reliefと呼び,その分布図は起伏量図といわれる。 すなわち起伏量とは単位面積内の最高点と最低点の高度差であり,単位面積は地表の凹凸の規模に従ってさまざまに設定される。…

【山】より

…山とは必ずしも高さの大小だけではなく,相対的な高みを指し,かつ山頂を囲む斜面との組合せでできている地形をいう。 標高だけで高山(3000m以上),中山(1000~2000m),低山(1000m以下)とする区分もあるが,主要な山稜とそれに付随する主要な谷との間の高度差で示される起伏量の大小に従って,山地を大起伏山地(起伏量1800m以上),中起伏山地(900~1800m),小起伏山地(600~900m),丘陵地(150~600m)とする区分がある(アメリカの地理学者トレワーサによる)。これは世界の山地を対象にした区分なので,日本の山地に対しては上記の区分基準を下げ,大起伏(1000m以上),中起伏(500~1000m),小起伏(150~500m),丘陵地(50~150m)のようにした方が当てはめやすい。…

※「起伏量」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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