趙元任(読み)ちょうげんじん(その他表記)Yuen Ren Chao

日本大百科全書(ニッポニカ) 「趙元任」の意味・わかりやすい解説

趙元任
ちょうげんじん
Yuen Ren Chao
(1892―1982)

中国天津(てんしん)市に生まれ、アメリカ国籍をもつ言語学者、音声学者、数理論理学者、作曲家。字(あざな)は宜重または重遠。1914年、開学以来の成績コーネル大学を卒業、1918年ハーバード大学大学院卒業。言語の実験音声学的、工学的研究、中国語の記述的研究、方言研究で広く知られる。主著は『言語と記号システム』(1968)。コーネル大学、ハーバード大学、カリフォルニア大学で教え、1945年アメリカ言語学会会長、1960年アメリカ東洋学会会長を務めた。その手になる多数の歌曲のなかでも、ことに不朽名曲『教我如何不想他(あのひとを思わずにいられない)』の作曲家として有名。

[橋本萬太郎 2018年7月20日]

『ユアン・レン・チャオ著、橋本萬太郎訳『言語学入門――言語と記号システム』(1980・岩波書店)』『Yuen Ren ChaoLife with Chaos(1975, Spoken Language Series, Inc., Ithaca, New York)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「趙元任」の意味・わかりやすい解説

趙元任
ちょうげんじん
Zhao Yuan-ren

[生]光緒18(1892).11.3. 天津
[没]1982.2.24. マサチューセッツ,ケンブリッジ
言語学者。中国語学者。アメリカに学び,1914年コーネル大学卒業。 18年ハーバード大学で文学博士。その後この両大学や北京で教え,29年から歴史語言研究所研究員。 45年アメリカ言語学会会長。 60年アメリカ東洋学会会長。カリフォルニア大学名誉教授。中国語の音声学音韻論および方言学の面で大きな業績を上げた。中国語のローマ字化を提唱。音楽家でもある。『現代呉語的研究』 (1928) ,『湖北方言調査報告』 (2巻,48,共著) ,『北京口語語法』 Mandarin Primer (48) ,『語言問題』 (59) ,『中国話的文法』A Grammar of Spoken Chinese (68) ,『言語と記号システム』 Language and Symbolic Systems (68) などの著書がある。

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