日本大百科全書(ニッポニカ) 「カリフォルニア大学」の意味・わかりやすい解説
カリフォルニア大学
かりふぉるにあだいがく
The University of California
アメリカ合衆国カリフォルニア州の9か所(2005年には10か所)のキャンパスからなる州立総合大学群の総称。1868年創設。同州の高等教育計画により、万人に高等教育の門戸を開放する109校の公立短大(コミュニティ・カレッジ)群、学部教育を中心とする23校の州立大学群と機能分担をしつつ、大学院教育や研究機能を重視している。元総長クラーク・カーClark Kerr(1911―2003)は、この巨大・複雑な機構は、共通の目的に統合された総合大学(ユニバーシティ)ではなく多様な目的・機能に奉仕しなければならない複合大学(マルティバーシティmultiversity)とよばれるべきだといっていた。
カリフォルニア大学(UC)への入学資格は、州内の高校の成績や全国テストの平均から上位12.5%以上、あるいは高校内での成績順位が上位4%以内のランクにある学生にだけ認められている。バークリー、デービス、アーバイン、ロサンゼルス(UCLA)、リバーサイド、サン・ディエゴ、サンタ・バーバラ、サンタ・クルス、サンフランシスコに巨大なキャンパスと施設をもち、それぞれが個性や特色を発揮した総合大学として機能している。2005年には、10番目のキャンパスをマーセッドに開校。
オークランドに本部があり、26人からなる大学理事会の管理のもとに総長Presidentが全体を運営し、各キャンパスごとに学長Chancellorが置かれている。いずれのキャンパスもアメリカで高い水準を保っているが、なかでもバークリー校の学問的卓越性と教授陣や学生の質は高く、大学院の質のランキング調査では、つねにハーバード大学やスタンフォード大学などの名門私学とアメリカのトップを争っている。2002年現在、常勤教員数は7785人、学生数18万8301人。1995年、理事会の議長を兼ねる共和党員の知事の下、アファーマティブ・アクションaffirmative action(アフリカ系をはじめとする少数民族諸集団などのマイノリティに対する入学優遇策)が廃止され、全米で大きな波紋をよんだ。実際、その後のマイノリティ学生の入学者は減少し、その見直しが図られている。
[喜多村和之・杉谷祐美子]
『喜多村和之著『学生消費者の時代 バークレイの丘から』(1996・玉川大学出版部)』