足引きの(読み)アシヒキノ

デジタル大辞泉 「足引きの」の意味・読み・例文・類語

あしひき‐の【足引きの】

[枕]
「山」および「山」を含む語「山田」「山鳥」などにかかる。
「―山のしづくいも待つと」〈・一〇七〉
「―山鳥の尾のしだり尾の」〈拾遺・恋三〉
」「八峰やつを」「岩根いはね」などにかかる。
「―峰のの桜」〈・四一五一〉
[補説]後世、「あしびきの」と濁る。語義には、足を引いてあえぎつつ登る意、山すそを長く引く意など諸説がある。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「足引きの」の意味・読み・例文・類語

あしひき‐の【足引の】

  1. ( 「あしびきの」とも )
  2. 「山」および「山」を含む熟合語、「山」と類義語である「峰(を)」などにかかる。語義、かかりかた未詳
    1. [初出の実例]「阿志比紀能(アシヒキノ) 山田を作り 山高み 下樋(したび)を走(わし)せ」(出典古事記(712)下・歌謡)
    2. 「けふのためと思ひて標(しめ)し足引乃(あしひきノ)(を)の上の桜かく咲きにけり」(出典:万葉集(8C後)一九・四一五一)
  3. 「あしひきの」だけで「山」の意を含むものとなり、「岩根」「木の間」その他に自由にかかる。
    1. [初出の実例]「足日木能(あしヒキノ)岩根こごしみ菅の根を引かばかたみと標(しめ)のみそゆふ」(出典:万葉集(8C後)三・四一四)
    2. 「窓ごしに月おし照りて足檜乃(あしひきノ)嵐吹く夜は君をしそ思ふ」(出典:万葉集(8C後)一一・二六七九)

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