足抜(読み)あしぬき

精選版 日本国語大辞典 「足抜」の意味・読み・例文・類語

あし‐ぬき【足抜】

〘名〙
① 足を抜きあげるようにして音を立てずに歩くこと。抜き足。
曾我物語(南北朝頃)四「五郎も足ぬきしてたちけるが」
② 歩を移すこと。その場を脱け出ること。
※大淵代抄(1630頃)七「霊山葛藤樹は倒れてもあれ、別に脚(あシ)抜きのせられぬ葛藤があると見ゑたほどに」
③ ある境遇や状況から脱け出ること。
※大淵代抄(1630頃)八「世尊の圏裡に落ちて、且つ、出身の路無いこと、足(あシ)ぬきのせられぬことだ」
芸娼妓などが前借金をすまさないで逃げること。足抜け
※人間(1938)〈高見順〉「足抜きでもされてはと思ってんのかな」
近世、大坂堂島で取り引きされた米相場の高下を、飛脚より早く他の米市場に知らせたこと。これによって不当な利を得る者があり、厳罰に処せられた。〔御触書并承知印形帳‐天保五年(1834)一〇月二六日(大阪市史四)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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