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飛脚 ひきゃく

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

飛脚
ひきゃく

信書,金銀,小貨物などを郵送する脚夫。その起源は律令時代にさかのぼるが,江戸時代になって急速に発達した。種類には幕府公用の継飛脚,諸大名の大名飛脚,民間営業の町飛脚などがあった。のちには町飛脚が大いに発達し,幕府,諸大名もこれに託した。

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デジタル大辞泉の解説

ひ‐きゃく【飛脚】

手紙・金銭・小荷物などの送達にあたった者。古代の駅馬に始まり、鎌倉時代には鎌倉・京都間に伝馬による飛脚があったが、江戸時代に特に発達。幕府公用のための継ぎ飛脚、諸藩専用の大名飛脚、民間営業の町飛脚などがあった。明治4年(1871)郵便制度の成立により廃止。

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百科事典マイペディアの解説

飛脚【ひきゃく】

速く走る者,手紙を運ぶ者という意で,平安時代末期から現れ,初めは馬を用いない通信使をいったが,一般には乗馬の急使をいった。江戸時代には信書,為替や小貨物などを運送した業者およびその運送方法をいい,幕府公用の継(つぎ)飛脚,江戸と領国との間を往復した大名飛脚のほか,江戸の定飛脚,京の順番飛脚,大坂の三度飛脚など,民間でも迅速で確実な通信・運輸手段として発達,各地に飛脚問屋ができた。
→関連項目三度笠

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世界大百科事典 第2版の解説

ひきゃく【飛脚】

速く走る者,手紙を運ぶ者という意味で,鎌倉時代に京都と鎌倉との間を連絡する飛脚の存在が知られているが,古来支配のある所,人と商品の往復する所には必ず広義の飛脚がいたはずである。人足としての飛脚は,最近まで大阪の私鉄沿線で客の依頼により品物を購入して運ぶ飛脚屋として残っていた。なお近世には人足としての飛脚を上下(じようげ)と称することがある。【藤村 潤一郎】
[古代,中世]
 飛脚の語は,だいたい平安時代の末ごろから現れ,中世以降頻出する。

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大辞林 第三版の解説

ひきゃく【飛脚】

急を要する書類・金銀などの小貨物を配達する人夫。律令制の駅馬に発し、鎌倉時代は京都・鎌倉間に早馬があった。江戸時代には駅伝制が急速に発達、幕府公用の継ぎ飛脚、諸藩専用の大名飛脚、民間の町飛脚などがあった。1871年(明治4)郵便制度の成立とともに廃止された。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

飛脚
ひきゃく

信書・文書などの送達にあたった者。語源は早く走る者、文使(ふみづかい)という意味である。通信手段は、権力と物資輸送の行われる所では不可欠であるから、いずれの時代にもあったはずである。[藤村潤一郎]

古代・中世

古代には駅馬を利用した飛駅使(ひやくし)、駅使があり、公用の文書の輸送を行った。1日の行程は前者が160キロメートル以上、後者が128キロメートルである。平安時代には駅制が崩壊したので事情は明らかでない。鎌倉時代には鎌倉を中心に京都、九州などの間に伝馬による飛脚があった。京―鎌倉間の平均行程は、初め14~15日であったが、駅制の整備により3~4日に短縮された。また九州博多(はかた)から鎌倉への急便も弘安(こうあん)の役(1281)のおりには約12日で到達するようになった。室町幕府は積極的な駅制の整備を行わなかったので明らかでない。戦国大名は軍事上の目的から駅制を重視し、飛脚には城下町かその付近に住む手工業者が用いられ、伝馬継立(つぎたて)の印判手形がなくても通行した。[藤村潤一郎]

近世

近世には五街道、東廻(ひがしまわり)、西廻海運が整備され、各種の飛脚が存在した。しかしまだ不明の点が多い。[藤村潤一郎]
継飛脚と大名飛脚
まず幕府、大名の飛脚については、江戸が政治上の中心地であり、京、大坂、長崎、甲府、駿府(すんぷ)など主要都市との連絡のため、幕府の継(つぎ)飛脚が各宿に準備されていた。継飛脚は川留(かわどめ)に際しては最初に渡河し、江戸―大坂間では4~5日で通行している。
 大名は国元と江戸屋敷、大坂蔵(くら)屋敷とを連絡するため飛脚が必要で、尾張(おわり)、紀州藩などの七里飛脚(七里ごとに小屋を置く)、加賀藩前田氏の江戸三度(月に三便)などが有名で、街道に独自の飛脚小屋を設けた場合もあるが、時期によっては町飛脚に請け負わせたこともある。脚夫は一般には足軽(あしがる)によるか、町飛脚によっている。藩領内では城下町と主要な地点を結ぶ定期的な飛脚があった。このほかに大名の参勤交代に関係して通日雇(とおしひやとい)がある。上下(じょうげ)とも称する。江戸、京都、伏見(ふしみ)、大坂のそれが有名で、江戸では六組(むくみ)飛脚とも称している。これらは通信にも従事しているが人宿(ひとやど)的性格が強く、人足は雲助に近い者もいたと考えられる。街道沿いの城下町には日雇頭があり、彼らも通日雇に従事していたようである。[藤村潤一郎]
町飛脚
町飛脚については三都間のものが有名である。江戸の相仕(あいし)(取引相手の問屋)として京、大坂があり、三都の問屋が互いに連絡をとって営業を行った。これらはともに定期的な飛脚を意味する語を問屋名とし、江戸は定(じょう)飛脚、京は順番飛脚、大坂は三度飛脚と称した。また京飛脚など地名を冠した飛脚は、その地名地宛(あ)ての飛脚であることを意味している。なお三度飛脚とは、もともと幕府の京、大坂、駿府御番衆宛ての公用の飛脚(月三往復)だが、転じて定期的な町飛脚を意味することばにもなった。おそらく町飛脚が前者の仕事を請け負ったことなどから転化したのではあるまいか。
 町飛脚の道中での運行を指示するのは宰領(さいりょう)(才領)である。彼らはおそらく都市の細民層に属し、道中での人足や馬持を採用したり、なだめすかしたりして仕事をし、街道筋では顔を知られた存在であった。人足と馬持は街道付近の農民の副業として行われ、一部には雲助もいたはずである。途中の飛脚宿は脇本陣(わきほんじん)や宿屋が兼ねている。人足はかならずしも宿継(しゅくつぎ)ではなく、とくに早飛脚の場合には、道中で遅れて請負刻限が迫ると、早駕籠(かご)を使用する例もある。瀬戸内海では陸路でなく早船を利用する場合があった。絹、生糸などの荷物は、宰領が率いて数頭の馬持が一種のキャラバンを組織している。
 三都の飛脚問屋が全国を完全に連絡しているのではない。各都市中心に個別地との飛脚がある。これと都市の宿屋との関係は明らかでない。また農村と都市の連絡には定飛脚もあるが、特定の物資を運ぶ者が書状を請け負う可能性があり、書状を運ぶ者が買い物を頼まれる場合もある。都市内では町飛脚はチリンチリンの飛脚などと称せられ、鈴をつけている場合がある。彼らは長屋の住人であり、主要な顧客の一つに遊廓(ゆうかく)がある。駕籠(かご)かきなども書状を請け負っている。
 明治期になり郵便が成立して書状は飛脚から離れたが、一部では荷物の運搬は飛脚によって行われた。[藤村潤一郎]
『豊田武・児玉幸多編『交通史』(『体系日本史叢書24』1970・山川出版社)』

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世界大百科事典内の飛脚の言及

【葬式】より

…以後,葬式の費用を含めていっさいの仕事は喪家の手から離れ,血の濃い親戚とか隣保の者の手に移る。死を告げる2人1組のヒキャク(飛脚)が立てられ,枕経のために僧侶がよばれる。ここではじめて釈迦の涅槃(ねはん)に模して北枕に寝かし,顔に白布をかける。…

【手紙】より

…自署が要求された結果,近世初期には,必要を予測して紙面のあるべき位置に花押のみを記した〈判紙(はんし)〉が,本人不在の所にも厳重に保管され,儀礼的な急場には用いられた。日時の明記については,戦国時代以降,遠距離から変転する事件を通報するについて,連続的・一方的に発した通信に対し,対応する返信もまた連続するので,使者,飛脚により途中前後する場合もまれではない。そこで日付,刻付が重視され,混乱防止のため返信にも念を入れ,往信の趣意を繰り返し記すことが多い。…

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