転倒・顛倒(読み)てんとう

精選版 日本国語大辞典 「転倒・顛倒」の意味・読み・例文・類語

てん‐とう ‥タウ【転倒・顛倒】

〘名〙 (「てんどう」とも)
① 本来の順序がさかさになること。ひっくりかえること。また、そうすること。
史記抄(1477)三「語の顛倒したり賛や論のあらい事もあるぞ」 〔詩経‐斉風・東方未明〕
② たおれること。また、たおすこと。顛跌(てんてつ)
※日本紀略‐長元五年(1032)七月二〇日「宇佐宮宝殿去四月二十二日依大風顛倒事也」 〔荀子‐仲尼〕
平常の落ち着きを失ってうろたえること。度を失うこと。転動。動転
※観智院本三宝絵(984)下「臨終の時に心顛倒せずして即極楽に生る」
荘園・所領等の正当な所有権が奪い去られること。
※醍醐寺文書‐仁治二年(1241)四月二四日・官宣旨案「件庁屋修理料田畠同被顛倒畢」
⑤ (この場合は「てんどう」と読む) 仏語。煩悩のために道理にそむくこと。真理に反すること。特に世間のものが無常であるのに永遠(常)であるとし、苦であるのに楽であるとし、無我であるのに我があるとし、不浄であるのに清浄(浄)であると見て、それにとらわれることを四顛倒という。
※勝鬘経義疏(611)顛倒真実章「従顛倒衆生以下、釈顛倒。可見」
発心集(1216頃か)七「妄想顛倒(テンダウ)の嵐はげしく」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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