近世物之本江戸作者部類(読み)きんせいもののほんえどさくしゃぶるい

改訂新版 世界大百科事典 「近世物之本江戸作者部類」の意味・わかりやすい解説

近世物之本江戸作者部類 (きんせいもののほんえどさくしゃぶるい)

蟹行散人(かいこうさんじん)(曲亭馬琴)が著した江戸文学の作者事典。1834年(天保5)成稿。写本2冊。いわゆる赤本(あかほん)などの発生期の江戸戯作にはじまり,天保年間(1830-44)にいたる,草双紙,洒落本,滑稽本,人情本,黄表紙,合巻(ごうかん),読本(よみほん)の作者のべ148名について,いちいち,その著作・伝記本名,身分,生没,世評)をできるかぎり克明に調べ,赤本,洒落本,中本(ちゆうほん),読本の作者に分類し,集成したもの。上方文壇に対する江戸通俗文壇史をも兼ねる。現代からみて誤伝,疎漏は多いが,平賀源内や建部綾足らの先駆的戯作の意義も明らかにされ,筆禍その他の出版資料も多く,当時,まだ社会的に卑視されがちな戯作者の,とくに無名の存在について,後世に資料・記録を残さねばとする作者の悲願に裏うちされた画期的な江戸文学史資料である。
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