生没年不詳。サンスクリット名はカーシュヤパマータンガKāśyapamātaga。1世紀ころ中国に仏教を伝えた最初のインド僧と伝える。竺摩騰(じくまとう)、摂摩騰(しょうまとう)ともいう。伝説によると、後漢(ごかん)の明帝(めいてい)が夢に金人(きんじん)(仏)をみて、仏教を求め、使者をインドに遣わした。途中、使者は大月氏(だいげっし)国(中央アジア)で中インドの僧、迦葉摩騰と竺法蘭(じくほうらん)に会った。二人の僧は使者に伴われ、経典、画像を白馬に乗せて、67年(永平10)洛陽(らくよう)に至り、白馬寺(はくばじ)に住し、『四十二章経(しじゅうにしょうぎょう)』(実践倫理的教訓を42章に抄集した経典)を訳したという。これは史実ではないが、5世紀ころから、迦葉摩騰は仏教初伝の僧で、『四十二章経』は最初の訳経、白馬寺は初建の寺であるということが、中国における仏教初伝の定説となった。なお『四十二章経』については、5世紀ころ中国で成立したとみられ、「高麗(こうらい)本」と禅宗的改変の「守遂(しゅすい)本」の2系統が現存する。
[柴田 泰 2016年11月18日]
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