追掛(読み)おっかけ

精選版 日本国語大辞典 「追掛」の意味・読み・例文・類語

おっ‐かけ【追掛】

〘名〙
① =おいかけ(追掛)①〔倭語類解(17C後‐18C初)〕
※大道無門(1926)〈里見弴〉白緑紅「追っかけに、もう一本電報をうってやらうか」
※天正本狂言・竹松(室町末‐近世初)「伯父の所より借りて来る原中にておっかけに取らるる」
浅草(1931)〈サトウハチロー〉僕の浅草「いつの間にピアノを習ったのか〈略〉活動の追(オ)っかけを弾いてゐるのである」
※浅草紅団(1929‐30)〈川端康成〉一五「『握り。障り。話し。プログラム。落ちますよ。〈略〉追(オ)っかけ。ありがたう。〈略〉』なぞ、彼等の昔ながらの『婦女誘惑術』」
⑥ 染色工程の一つ。小紋や中型染めで二枚の型紙を用いて、一度糊(のり)をつけた上に重ねて型紙を置き、もう一度糊をつけること。また、その型紙。
人力車夫などが辻待ちをして客を引くこと。
⑧ 魚の仲買人。しょうぬし。せんば。
⑨ ファンが人気スターなどの行動に、いつも付いて回ること。また、そうしたファン。
※極楽TV(1985)〈景山民夫〉一「このおばさん達の意識に非常に近いところにあるのが〝追っかけ〟でございます」

おっ‐か・ける【追掛】

〘他カ下一〙 おっか・く 〘他カ下二〙 「おいかける(追掛)」の変化した語。
太平記(14C後)一八「若し敵の追蒐(ヲッカケ)(まい)らする事もや有んずらんと」

ぼっ‐か・ける【追掛】

〘他カ下一〙 ぼっか・く 〘他カ下二〙 (「おっかける(追掛)」の変化した語) 後から追う。追いかける。
浄瑠璃大原御幸(1681‐84頃)一「ぼっかけ討たんと思へども」

おい‐かか・る おひ‥【追掛】

〘自ラ四〙 後を追って行って攻めかかる。
今昔(1120頃か)二五「取て返して追ひ行けるに、浦原の隔つつ有る程を行けるに、追ひ懸りにけり」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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