造滓溶剤(読み)ぞうさいようざい(その他表記)smelting flux

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「造滓溶剤」の意味・わかりやすい解説

造滓溶剤
ぞうさいようざい
smelting flux

鉱石,粗金属などの溶錬の際に,石英のような難溶性の脈石や不要鉱物,または酸化溶錬の生成酸化物などを,比較的融点が低く流れのよい鉱滓として目的金属から分離するため加調する材料。不要鉱物は多く目的金属以外の金属Mの酸化物 MxOyxy なら塩基性,xy なら酸性に働くが,両者が結合すると比較的低融点の複酸化物になる。おもな造滓塩基性成分は K2O ,MgO ,FeO ,MnO ,CaO など,酸性成分は SiO2 ,P2O5 などで,Al2O3両性に働く。それで不要鉱物として石英 (ケイ酸 SiO2 ) の多い鉱石なら石灰 ( CaO ) を加えると融点が下がり,Al2O3 が加わると融点はさらに下がる。実際の溶錬作業では上記の各成分がどの程度鉱石その他の原料から入ってくるか,また鉱滓はどの程度の塩基度とすべきかにより,加調溶剤の種類と量を計算して決める。多くの鉱石は SiO2 ,Al2O3 を伴っているので石灰石は重要な溶剤である。鉄製錬の場合は単なる複酸化物ケイ酸塩の調整だけでなく,硫黄の除去も重要な要素になる。それで製銑製鋼におけるマンガン鉱,石灰石の加調は,MnS,CaSができて鉱滓化する脱硫作用をも期待するためである。以上のほか酸素を除去するための脱酸剤も溶剤の一種である。

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