( 1 )「造物」「造化」は、漢籍に見えるが、「造物主」は、キリスト教の概念として一六世紀、中国を訪れたイエズス会士によって、造られた語。艾約瑟の「職方外紀」(一六二三)の開巻に「造物主之生我人類於世也」とある。一九世紀初頭に中国に渡った新教の宣教師たちにも継承された。
( 2 )イエズス会士の著述は、日本でも読まれたが、使用例は江戸後期まで確認できない。幕末・明治初期になって、西洋事情を紹介する啓蒙的な書物に使用されるようになる。
… 上記の職業人がなぜ公共奉仕者を意味するデミウルゴスの名で呼ばれるようになったかについては,ギリシア人原初共同体を想定し,そこにデミウルゴス本来の社会的機能(公共奉仕)を位置づけ,社会的分化の結果として職人デミウルゴス,役員デミウルゴスが出現したと説く解釈や,インドのように村抱えの隷属職人をもたないギリシア都市国家が,その軍事的需要を調達するために組織した,特定の対国家奉仕義務(ライトゥルギー)を負わされた団体(ローマのファブリのごとき)にその起源を求める解釈がある。なお,プラトン哲学では原素材(ヒュレ)から世界を創る建築者としての神を,さらにグノーシス主義では悪しき被造世界の創造者を意味するにいたり,〈造物主〉との訳語があてられることもある。【渡辺 金一】。…
…ウパニシャッド思想の最高原理ブラフマン(梵,中性)を神格化したもので,ブラフマーはその男性主格形である。ブラフマーは造物主とされ,仏教の興起した頃には,世界の主宰神,創造神と認められるようになった。宇宙は〈ブラフマンの卵(梵卵)〉と呼ばれ,ブラフマーはその宇宙卵を二つに割って,天と地を創ったとされる。…
※「造物主」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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