最新 地学事典 「進行性地すべり」の解説
しんこうせいじすべり
進行性地すべり
progressive landslide
過圧密粘土および頁岩などからなる斜面において,斜面脚部の切取りなどに伴い局部的に発生した破壊が,斜面の他の部分に順次およぶ進行性破壊(波及破壊)によって生じる地すべり。過圧密粘土や頁岩の場合,歪み量がある限度を超えると土の剪断強度が急激に低下し,ある一定値(残留強度)に落ち着くことが知られている。堆積過程で粘土内に蓄積される回復性歪みエネルギー(recoverable strain energy)は,風化の進行に伴いエネルギーが解放され,横方向に広がる傾向が強い。このため斜面脚部の切取りにより,局所的にピーク強度より大きな剪断応力が働き,成長しつつあるすべり面の先端に応力が集中する結果,剪断強度は残留強度まで急激に低下し,これが順次斜面上方に進行していく(進行性破壊)。後退性地すべり(retrogressive landslide)は広義の進行性地すべりに含まれる。一方,第三紀層地すべりなどのように,すべり面の傾斜が緩い場合,地すべりの進行が冠頭部亀裂から始まり,末端部の押出しを伴う大きな地すべりとなることがある。このような斜面上方から下方に向けての歪みの累積が主体となる地すべりを前進性地すべり(前進性破壊)という。参考文献:L.Bjerrum(1967) J.Soil Mech. and Fdn. Div.,A.S.C.E.,Vol.93, No.SM5
執筆者:山崎 孝成・中山 俊雄
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

