日本大百科全書(ニッポニカ) 「遺家族援護」の意味・わかりやすい解説
遺家族援護
いかぞくえんご
主として旧軍人・軍属の遺家族に対する援護をいう。第二次世界大戦の終戦によって軍人恩給や軍事扶助法が廃止され、軍人・軍属の遺家族のなかには、生活に困窮する者も多く出るようになったが、1952年(昭和27)戦傷病者戦没者遺族等援護法が制定されて、遺家族に対する援護の道が開かれた。軍人・軍属の公務上またはそれに関連した死亡の場合は遺族年金が、準軍属の場合は遺族給付金がそれぞれ支給され、公務死の場合は先順位者に年額196万2500円、後順位者に7万2000円(2002年現在)というように各種の援護金が給付される。遺族の範囲と受給順位は、配偶者、子、父母、孫、祖父母、入夫(にゅうふ)の妻の父母の順になっている。このほかに戦没者等の妻、戦傷病者の妻、戦没者の父母等への特別給付金、戦没者の遺族への特別弔慰金などの支給制度もある。受給者の団体に日本遺族会がある。
[可児秀夫]
『厚生省援護局監修『戦傷病者戦没者遺族等援護法の解説』改訂版(1989・新日本法規出版)』▽『厚生省社会・援護局援護課監修『特別弔慰金特別給付金支給法の解説』改訂版(1994・新日本法規出版)』▽『厚生省社会・援護局援護50年史編集委員会監修『援護50年史』(1997・ぎょうせい)』▽『厚生省社会・援護局援護課監修『援護法Q&A』(2000・新日本法規出版)』