遼寧式銅剣(読み)リョウネイシキドウケン

デジタル大辞泉 「遼寧式銅剣」の意味・読み・例文・類語

りょうねいしき‐どうけん〔レウネイシキ‐〕【×遼寧式銅剣】

紀元前9~3世紀頃に中国東北部の遼寧省付近で作られ、東アジア一帯に広まった青銅製の剣制の総称。剣身と柄を別々に鋳造するのが特徴遼寧式短剣満州式銅剣琵琶形銅剣。→オルドス式短剣

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改訂新版 世界大百科事典 「遼寧式銅剣」の意味・わかりやすい解説

遼寧式銅剣 (りょうねいしきどうけん)

中国東北の遼寧省に分布の中心をもつ,東アジア特有の青銅製の剣制の一つ。かつては満州式銅剣とも呼ばれ,また琵琶形銅剣とも呼ばれる。剣身は鋒部が鋭く,中央部が左右に突出し,剣尾が幅広くなった特有の曲刃形で,脊(せき)は円柱状をなし,延伸して短い茎(なかご)となる。この剣身に別造りのT字形剣把を組み合わせた,独特の形態の青銅製短剣である。この点,剣身と剣把を同時に鋳造してつくる中国式銅剣や,内モンゴル高原に分布する触角式把頭をもったオルドス式銅剣オルドス青銅器)とは性格を異にする。この剣身と剣把を別造りとする形態は,朝鮮,日本の銅剣に大きな影響を与えた。この遼寧式銅剣は,(1)典型的な曲刃形剣身と有機質製T字形剣把の組合せ,(2)曲刃形剣身とZ字連続雷文飾青銅T字形剣把の組合せ,(3)幅の狭い剣身に細鱗文を飾った青銅T字形剣把の組合せ,の3期に分けられ,年代は春秋時代後期から戦国時代末期にわたる。また,この剣を使用した民族は東胡族である可能性が強い。
銅剣
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「遼寧式銅剣」の意味・わかりやすい解説

遼寧式銅剣
りょうねいしきどうけん
Liao-ning-shi tong-jian

中国遼寧省や朝鮮半島で発見される有茎式銅剣の一種。身の両側縁,中央近くに棘状突起があり,身の下半部は琵琶の胴部のようにふくらんでいる。このことから,琵琶形銅剣ともいう (以前は満州式銅剣と呼んだ) 。遼寧省では春秋時代ないし戦国時代の墓から発見される。

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世界大百科事典(旧版)内の遼寧式銅剣の言及

【銅剣】より

…またオルドス式銅剣の柄頭飾は,遼寧,朝鮮,日本の銅剣の一部にも採用された。 遼寧地方で発達した遼寧式銅剣は,断面円形の脊をもつ剣身とT字形の柄とを別鋳する。朝鮮,日本の銅剣はこの剣の系譜下にある。…

※「遼寧式銅剣」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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