東胡(読み)トウコ(英語表記)Dōng hú

デジタル大辞泉 「東胡」の意味・読み・例文・類語

とう‐こ【東×胡】

中国春秋時代以降内モンゴル東部にいた狩猟遊牧民族匈奴きょうどを圧していたが、のち服属烏丸うがん鮮卑せんぴ契丹きったんはその後裔という。

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精選版 日本国語大辞典 「東胡」の意味・読み・例文・類語

とうこ【東胡】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「胡」は中国で辺境の異民族に対する蔑称 ) 東方の異民族。特に、春秋時代から東蒙古に現われた狩猟遊牧民をいう。のち匈奴に支配された。烏桓鮮卑契丹はその後裔といわれる。〔史記‐馮唐伝〕

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改訂新版 世界大百科事典 「東胡」の意味・わかりやすい解説

東胡 (とうこ)
Dōng hú

中国,春秋時代から漢代初めに内モンゴル東部にいた遊牧狩猟民族。匈奴つまり胡の東方に居住したことからの呼称。戦国期,直接に境を接した燕国は対策に苦しみ,上谷遼東などの5郡をおくとともに,いまの河北省懐来から遼寧省遼陽までの間に長城を築いてその騎兵を防いだ。秦代になると一段と強盛となり,一時は匈奴を圧倒したが,前漢の初め,冒頓単于(ぼくとつぜんう)に急襲されて壊滅した。後漢代にあらわれる烏桓(うがん)と鮮卑はその後裔とされている。
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百科事典マイペディア 「東胡」の意味・わかりやすい解説

東胡【とうこ】

東部モンゴリアにいた古代の狩猟遊牧民族。春秋時代から中国の史書に現れる。初め匈奴(きょうど)より優勢であったが,前2世紀匈奴の冒頓単于(ぼくとつぜんう)に服属。その後身は鮮卑(せんぴ)および烏桓(うがん)となった。モンゴルとツングース混血と考えられ,契丹(きったん)もまた同系統に属する。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「東胡」の意味・わかりやすい解説

東胡
とうこ
Tong-hu; Tung-hu

中国,春秋時代頃からモンゴルの東方にいた民族。戦国時代,燕はこれと戦い,長城を築いてその侵入を防いだ。秦代にはモンゴルの西方大月氏 (→月氏 ) と並んで強力となり,匈奴を圧迫したが,匈奴の冒頓単于 (ぼくとつぜんう) がこれを打破し,支配下に入れた。烏丸鮮卑契丹は東胡の後裔といわれる。その民族系統は,東胡をツングースの音訳とする説もあるが,胡 (匈奴) の東にいたものの意であるとする説が有力で,モンゴルを主としツングース系を交えた民族であろうと考えられている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「東胡」の意味・わかりやすい解説

東胡
とうこ

春秋時代(前770~前453)ごろからモンゴル高原東部に現れた狩猟牧畜民族。初めは、西方の月氏(げっし)とともに匈奴(きょうど)より優勢であったが、匈奴の冒頓単于(ぼくとつぜんう)に討たれてそれに服属した。烏桓(うがん)、鮮卑(せんぴ)、契丹(きったん)はいずれもその後裔(こうえい)であるといわれる。東胡とはツングースの音訳であるとする説もあるが、これは、胡(匈奴)の東の民族という意味であるらしい。その人種について、モンゴル系を主とし、ツングース系の混じった混血種族であるという白鳥庫吉(しらとりくらきち)の説があるが、明らかではない。

[護 雅夫]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「東胡」の解説

東胡(とうこ)
Donghu

春秋時代末から漢初にモンゴル高原東部で強盛だった狩猟・遊牧民族。秦代に匈奴(きょうど)を圧迫していたが,匈奴の冒頓単于(ぼくとつぜんう)に討たれて服属した。後漢に現れる烏丸(うがん)鮮卑(せんぴ)は東胡の後裔と伝えられている。

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旺文社世界史事典 三訂版 「東胡」の解説

東胡
とうこ

春秋時代から漢代にモンゴルに現れた狩猟遊牧民族
燕 (えん) はこれを防ぐために長城を築いた。匈奴(胡)の東方に存在したところからこのように呼ばれたが,匈奴 (きようど) の冒頓単于 (ぼくとつぜんう) に討たれて衰退。のちの烏桓 (うがん) ・鮮卑 (せんぴ) はその後裔 (こうえい) といわれるが,民族・言語については不明な点が多い。

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