邑制国家(読み)ゆうせいこっか(その他表記)Yi-zhi; I-chih

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「邑制国家」の意味・わかりやすい解説

邑制国家
ゆうせいこっか
Yi-zhi; I-chih

中国古代 (殷~春秋時代) の宗族的支配体制。邑土国家ともいう。これを都市国家と呼ぶ説もある。邑とは村や町をさす語で,通例は土城で囲まれていた。邑の大きなものが都で,中心となる都邑が国と呼ばれた。国には大小の属邑が隷属しており,これを鄙邑と呼んだ。国は王公とその一族を中心とした支配層 (卿大夫 ) および士,農,工,商などの国人が居住し,宗廟社稷祭祀によって族団的社会組織が保たれていた。周辺の鄙邑もまた宗族的組織をもち,国に対しては一定の賦税の義務を負った。国の政治は王公,卿,大夫によって行われたが,重大事には国人も政治に参加し,戦士もまた貴族と国人のなかから任じられた。国の勢力が増大すると (諸侯の発展) ,貴族にも一定の鄙邑が采邑として与えられた。国と国との関係は盟約によって結ばれ,その盟約の指導者が伯 (覇) 者と呼ばれた。周の王室は一族を主要な国の支配者として封建することにより,諸邑制国家を支配したのであるが,周王室の衰退とともに国々が独立化し (諸侯の時代) ,覇者が政治の中心となった。

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世界大百科事典(旧版)内の邑制国家の言及

【邑】より

…人びとは,宗廟とを中心に,この邑で共同体的生活を営んでいたと考えられる。それは社会構造の基礎をなしており,当時の国はすべてこのような一種の都市国家(邑制国家)であった,と考える説が有力である。都市国家が領土国家へと発展するにつれて,邑という語は都市,集落一般を意味するようになっていった。…

※「邑制国家」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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