日本大百科全書(ニッポニカ) 「郴州」の意味・わかりやすい解説
郴州
ちんしゅう / チェンチョウ
中国、湖南(こなん)省南東部にある地級市。湘江(しょうこう)の支流耒水(らいすい)流域に位置する。2市轄区、8県を管轄し、1県級市を管轄代行する(2016年時点)。人口518万8000(2014)。1959年郴県から分離して市が設けられたが、1963年に撤廃、1977年復活し、1994年郴県を市に吸収合併した。
周囲は米、小麦、イモ類、茶、タバコなどの農産物と用材、椿油(つばきあぶら)、竹などの林産物に富む。東江魚(加工食品)、臨武(りんぶ)鴨(同)、永興(えいこう)氷砂糖橙(とう)(オレンジの一種)などが名産として知られる。鉱産資源も豊富で、レアメタルのタングステンとビスマスの埋蔵量は世界1位、モリブデン、石墨の埋蔵量は国内1位である(2016)。工業都市であり、機械、化学、マッチ、陶磁器、製紙などの工業が立地する。京広線が通じ、市北部の三都(さんと)へ、郴三線が分岐する。
[河野通博・編集部 2016年12月12日]