配位子場(読み)ハイイシバ

化学辞典 第2版 「配位子場」の解説

配位子場
ハイイシバ
ligand field

配位子が,中心金属イオンの電子に及ぼす静電場,および配位子の分子軌道がつくる場のこと.点電荷間の相互作用の場として取り扱うときを結晶場両者軌道の重なりを分子軌道法的に考慮して取り扱うときを配位子場として区別する.強い配位子場のなかで,d軌道は配位子の分子軌道との相互作用の違いにより分裂する.これを配位子場(結晶場)分裂という.正八面体型錯体におけるd軌道の分裂を図に示す.[別用語参照]結晶場理論配位子場理論配位子場安定化エネルギー

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の配位子場の言及

【配位子場理論】より

…しかし,定量的にはある程度のずれがあり,これを現実と一致させるためには中心金属イオンと配位子との間に共有結合性を考慮にいれなければならなくなってくる。このようにして静電結合に共有結合性が加わった配位子の中心原子に対する相互作用を配位子場ligand fieldと呼び,配位子場による中心金属イオンの電子のエネルギー状態を考察するのが配位子場理論である。遷移金属イオンのd軌道のエネルギー準位は,自由イオンすなわち錯体をつくらないで,まわりに配位子がないときは5重縮重(5種の軌道がすべて同じエネルギー値をとる)しているが,配位子場理論によると,中心金属イオンと配位子が結合して錯体をつくるとき,その錯体のもつ対称性および配位子場の強さに応じて縮重が解け,その状況が変わる。…

※「配位子場」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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