日本大百科全書(ニッポニカ) 「酒盛り唄」の意味・わかりやすい解説
酒盛り唄
さかもりうた
日本民謡分類上の一種目で、酒席において飲む人自身が歌うものの総称。酒盛りとは、本来は、ある神事に際して神に酒を供え、共通の信仰をもつ人々がその酒を分かちあって飲むもの(直会(なおらい))であるが、それがいつしか酒を飲んで楽しむためだけのものに移行していった。したがって、本来の酒盛り唄は神に感謝し褒めたたえる祝い唄であったと思われるが、のちには酒の座をなごやかにして飲酒を促進させるための環境づくりの唄へと変わっていった。それでも初期には、酒をすすめるための会話を唄で行うものであったが、飲酒が娯楽になると、唄もまた、手拍子などで歌える、にぎやかで明るいもの中心で、しかも簡単な唄が主流となっていった。なお酒盛り唄とよぶ場合は、素人(しろうと)が酒席で歌うものをさし、玄人(くろうと)のものはお座敷唄として区別する。
[竹内 勉]