日本大百科全書(ニッポニカ) 「お座敷唄」の意味・わかりやすい解説
お座敷唄
おざしきうた
日本民謡分類上の一種目。広い意味での酒盛り唄であるが、花柳界の芸者衆がお座敷での宴席で客を楽しませるために歌ってきたものだけをさす。そのため、歌詞そのものは一般農漁村の酒盛り唄となんら変わらないものもあるが、その節回しは、芸者という職種上、女性の色気を前面に出すため、艶(つや)っぽく粋(いき)に歌い情緒的になり、技巧的になる。加えて、伴奏楽器が三味線中心であるため、都会の芸謡的なものになる。『新潟おけさ』『山中節』などがその代表例である。また花柳界はその時代の流行(はやり)唄ならなんでもかまわないだけに、お座敷唄から後に民謡となったもののなかには、端唄(はうた)や俗曲のたぐいもある。『正調博多(はかた)節』『岩室三下り』『鹿児島三下り』などがその代表例である。
[竹内 勉]