手拍子(読み)テビョウシ

デジタル大辞泉 「手拍子」の意味・読み・例文・類語

て‐びょうし〔‐ビヤウシ〕【手拍子】

手を打ち鳴らして拍子をとること。また、その拍子。「曲に合わせて手拍子をとる」
囲碁将棋などで、相手の手につられて、よく考えずに着手してしまうこと。「手拍子で打つ」
[類語]合いの手拍手

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精選版 日本国語大辞典 「手拍子」の意味・読み・例文・類語

て‐びょうし‥ビャウシ【手拍子】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 手を打ち鳴らして拍子を取ること。また、その拍子。てつづみ。
    1. [初出の実例]「手拍子人に囃(はや)させて」(出典:謡曲・柏崎(1430頃))
  3. 能楽などの稽古で、大鼓(おおつづみ)を使わず、手で拍子をとること。
    1. [初出の実例]「鼓・手拍子・口笛にて、稽古すべし」(出典:八帖花伝書(1573)八)
  4. 囲碁・将棋で、相手の手につられて反射的に着手してしまうこと。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「手拍子」の意味・わかりやすい解説

手拍子
てびょうし

踊りを伴う音楽などで、演奏者、踊り手、または観衆が手をたたいてリズムをとる行為をさす。リズムをとる他の動作とともにあまり重要でない一要素をなすのが一般的で、手拍子を独立した要素として強調する文化は少ない。原始音楽では手拍子が重要視されそうではあるが、足拍子に比べ手拍子は、音響、陶酔効果ともに小さく、木の枝などの自然物を打ち合わせただけでも大きな音を出せるので、手拍子を強調することは少ない。手拍子の強調は他の拍子手段を抑制する特殊な音楽的伝統の産物とみるべきであろう。日本音楽で手拍子が独立した要素になったのは、能楽などで足拍子、リズム用楽器に象徴的意味をもたせた結果、非特定的なリズム表現に手を用いる傾向が生じた結果だろう。笏(しゃく)拍子などのリズム楽器を意味する「拍子」が先に導入され、手拍子がのちに造語されたとみられることは、日本音楽の展開に伴う手拍子の特殊化を物語っている。片手扇子などを持ち他の手を打つ、シンバル類楽器を打つ、などを手拍子とよぶのは、拍子の意味が変化し「手拍子」が成立したあとに生じた現象だろう。観衆の手拍子が音楽に部分的に参加する風習演奏会形式との近代的複合である。

[佐々木明]

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世界大百科事典(旧版)内の手拍子の言及

【銅鈸】より

…鐃と組み合わせることが多いので〈鐃鈸(にようはち)〉という成語があるが,鐃鈸といって鈸だけを指す場合もあり,また大型の鈸を鐃鈸と称することもある。歌舞伎の囃子では〈チャッパ〉と呼ばれ,民俗芸能では〈かね〉〈手平(てびら)がね〉〈手拍子〉〈どびょうし〉などという。【三谷 陽子】【加納 マリ】。…

※「手拍子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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