化学辞典 第2版 「酸化ニオブ」の解説
酸化ニオブ
サンカニオブ
niobium oxide
数種類の酸化物が知られているが,もっとも安定で普通に存在するものはNb2O5である.【Ⅰ】酸化ニオブ(Ⅱ):NbO(108.91).一酸化ニオブともいう.黒色の等軸晶系結晶.密度6.27 g cm-3.水,硝酸,エタノールに不溶,硫酸,塩酸,アルカリに可溶.[CAS 12034-57-0]【Ⅱ】酸化ニオブ(Ⅳ):NbO2(124.91).二酸化ニオブともいう.青黒色の粉末.水,酸に不溶,熱アルカリ水溶液に微溶.光学ガラスの添加剤に用いられる.[CAS 12034-59-2]【Ⅲ】酸化ニオブ(Ⅴ):Nb2O5(265.81).五酸化二ニオブともいう.ニオブ酸の加熱脱水,あるいはニオブの硫化物,窒化物,炭化物などを空気中で強熱すると得られる.白色の粉末.斜方晶系.密度4.47 g cm-3.融点1520 ℃.冷水,熱水に不溶.KOHやK2CO3あるいはKHSO4と共融すれば水に可溶となるが,すみやかに加水分解してニオブ酸の沈殿を生じる.フッ化水素酸,アルカリに可溶,ほかの酸に不溶.半導体(ジョセフソン素子,表面波素子)材料,光触媒材料,光学用結晶,コンデンサー,バルブメタルの製造などに用いられる.[CAS 1313-96-8]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報