化学辞典 第2版 「酸塩基の理論」の解説
酸塩基の理論
サンエンキノリロン
theory of acid and base
酸および塩基の定義について提出されている考え方の総称.S.A. Arrhenius(アレニウス)(1884年)は,水素原子をもち水溶液中で水素イオン H+ を出す物質を酸とし,ヒドロキシ基をもち水溶液中で水酸化物イオンOH-を出す物質を塩基としたが,この定義ではあまりに狭く,一般的な議論では不便なので,現在では次に述べるJ.N. Brønsted(ブレンステッド)とT.M. Lowry(1923年)の定義が一般に用いられている.G.N. Lewis(ルイス)(1916年)の定義はさらに広範である.【Ⅰ】ブレンステッド酸・塩基:Brønstedの定義では,H+ を与えるもの(プロトン供与体)が酸であり,プロトン受容体が塩基である.すなわち,
の関係が成立する.A- をAHの共役塩基,BH+をBの共役酸という.【Ⅱ】ルイス酸・塩基:Lewisの定義では,塩基とは1個またはそれ以上の孤立電子対をもち,これを相手に与えて配位結合をつくりうるものであり,酸とは電子対を相手から受けるものである.たとえば,Cl- とAlCl3の反応では次のように書ける.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報