野に遺賢なし(読み)やにいけんなし

故事成語を知る辞典 「野に遺賢なし」の解説

野に遺賢なし

すぐれた人物がみんな国から与えられた仕事に就き、国が安定しているようすをいうことば。

[使用例] この学者なるもの〈略〉おおむね皆その地位に安んぜずして去りて官途に赴き、〈略〉みずからこれを甘んじ、人もまたこれを怪しまず、はなはだしきは「野に遺賢なし」と言いてこれをよろこぶ者あり[福沢諭吉学問のすすめ|1872~76]

[由来] 「書経だい」に載っている、紀元前十数世紀、伝説時代の中国の聖王しゅんのことばから。家臣が、「帝王と家臣がそれぞれ、自分の仕事の厳しさを認識して仕事に励めば、政治がうまくいくことでしょう」と述べたのに対して、「本当にそういうふうにできたならば、いい意見が埋もれてしまうということはなく、『野に遺賢無く(政府から官職を与えられないで民間に残っている賢者はいなくなり)』、国全体が安定するだろう」と応じています。

出典 故事成語を知る辞典故事成語を知る辞典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、和歌山県串本町の民間発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げる。同社は契約から打ち上げまでの期間で世界最短を目指すとし、将来的には...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android