国指定史跡ガイド 「野中寺旧伽藍跡」の解説
やちゅうじきゅうがらんあと【野中寺旧伽藍跡】
大阪府羽曳野(はびきの)市野々上にある飛鳥白鳳(はくほう)時代の寺院跡。真言宗高野山金剛峯寺の末寺、野中寺の境内にある。1944年(昭和19)に国の史跡に指定された。野中寺は「中の太子」と呼ばれ、叡福寺の「上の太子」、勝軍寺の「下の太子」とともに、聖徳太子建立46寺院の一つと伝えられる古刹(こさつ)。創建時の堂塔は南北朝時代までに兵火を受けて焼失しているが、境内には中門、金堂、塔、講堂、回廊跡など、法隆寺式伽藍(がらん)配置を示す礎石が残っている。中門は旧竹内街道に面した八脚門建物で、東西12m、南北12mの基壇規模をもつ。塔は凝灰岩製の基壇化粧をもち、東西13.62m、南北12.9m、高さ1.5mの規模で、塔心礎は凹柱座で、三方に添え柱を彫り込んだ柱穴側面に横穴式舎利奉安施設を彫り加えた珍しい構造であることが確認されている。遺物は古瓦が大半だが、塔跡からは創建時代を推定できる貴重な箆(へら)書き文瓦が出土している。近畿日本鉄道南大阪線藤井寺駅から徒歩約15分。