国指定史跡ガイド 「金胎寺境内」の解説
こんたいじけいだい【金胎寺境内】
京都府相楽郡和束(わづか)町原山にある寺院。府の南東端に近い標高685mの鷲峰山(じゅぶせん)山頂に位置し、役行者小角(えんのぎょうじゃおづぬ)によって676年(天武天皇5)に創建され、722年(養老6)に泰澄(たいちょう)が再興し、さらに807年(大同2)には興福寺の願安が再興したという。鷲峰山は大和の大峰山と並ぶ二大霊峰の一つで、古くから山岳修行の地として多数の修験者を集めてきた。南方に所在する笠置(かさぎ)寺と同様、山内には奇岩や怪石が多い。1298年(永仁6)には伏見天皇が行幸した際に勅願によって多宝塔が建てられた。現在、重要文化財に指定されている多宝塔には愛染明王像が安置されている。境内は東海自然歩道に組み込まれており、南の和束町側からの道のほかに北の宇治田原町側からの登山道もある。山門から少し登ったところに本堂と多宝塔、そこからさらに登った山頂に石造宝篋印塔(ほうきょういんとう)(重要文化財)が建つ。1934年(昭和9)に国の史跡に指定された。JR関西本線加茂(かも)駅から奈良交通バス「原山」下車、徒歩約1時間。