鉦(漢字)

普及版 字通 「鉦(漢字)」の読み・字形・画数・意味


13画

[字音] ショウ(シャウ)
[字訓] かね・どら

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は正(しよう)。〔説文〕十四上に「鐃(だう)なり。鈴に似て中(中空)、上下ず」とあり、また丁寧(ていねい)ともいう。鉦・鐃・丁寧は、いずれもその撃つ音より名をえたものであろう。〔周礼、地官、鼓人〕に鐸・鐃を用いることをしるしているが、鐃は殷器、鉦は列国の器である。殷器の鐃には巨大なものが多く、江南の諸族と境を接する山中に、東西にわたって埋蔵するものが出土しており、呪鎮としての性格をもつものであったらしい。南方族の古銅鼓も、またその地帯にそって埋蔵されていたと考えられる。鉦は形制はなはだ小。〔周礼〕にいうように、軍行に用いた楽器であろう。鉦と鐃とは器制はなはだ異なるものであるが、鉦を用いたらしい軍歌を鼓吹鐃歌という。鼓吹歌は北方族より移入したもので、用いた器はドラ形式のものであろうと思われる。

[訓義]
1. かね、どら。
2. 鐘の正面のうつところ。

[古辞書の訓]
名義抄〕鉦 フリツツミ・ヱル/鉦鼓 俗に云ふ、シヤウコ 〔字鏡集〕鉦 フリツツミ・クキ・ヱル

[語系]
鉦tjieng、(鐘)tjiongは声義近く、その音より名をえたものであろう。丁(寧)tyeng-nyengも同じ。またdeong、舂sjiong、衝thjiongはみな衝(つ)くこと、衝くことによって音を発する意をもつ。同系の語と考えてよい。

[熟語]
鉦鼓鉦人鉦鐸鉦鐃・鉦
[下接語]
暁鉦・撃鉦・懸鉦・鼓鉦・戍鉦・小鉦・声鉦・銅鉦・鳴鉦

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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