旺文社日本史事典 三訂版 「鎌倉文化」の解説
鎌倉文化
かまくらぶんか
公武2政権の並存から武家政権確立への時代相を反映して,初めは京都の公家文化が中心をなしていたが,文化創造の原動力を提供したのは武士といってもよく,しかもしだいに武士は公家文化と宋文化を摂取しつつ独自の武家文化を創造していった。まず宗教では法然・親鸞・日蓮・栄西・道元・一遍らの新仏教が庶民の間に興隆し,旧仏教の復興運動もおこった。和歌では藤原定家らの『新古今和歌集』や西行・源実朝などの歌集がある。平安時代以来の説話集・紀行文などに注目すべき作品が生まれ,また『平治物語』『平家物語』などこの時代の特色を示す軍記物も多い。美術工芸面でも動的・写実的・剛健な気風が作品に現れ,寺院建築では大仏様・禅宗様などの新様式が輸入され,仏像彫刻の運慶・湛慶らの慶派はすぐれた作品を残した。絵画では絵巻物が流行し,また似絵 (にせえ) と呼ばれる肖像画や肖像彫刻など新しい動きがあった。
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