日本大百科全書(ニッポニカ) 「鎌田武雄」の意味・わかりやすい解説
鎌田武雄
かまだたけお
(1901―1946)
動物生理学者。日本における一般生理学、細胞生理学分野の本格的研究の創始者とされる。東京生まれ。少年期の伝書鳩(ばと)への興味や生物物理学者ロエブJacques Loeb(1859―1924)の所説への傾倒からこの道を志し、1933年(昭和8)ロンドン王立学会研究所のA・V・ヒル、翌年ケンブリッジ大学動物学科のグレーJames Gray(1891―1975)の下に留学した。帰国して、1940年東京帝国大学理学部教授となる。実験的解析一本の追究を説いてやまず、ゾウリムシ細胞の興奮機構からウニ卵の付活に至るまで、電気生理学的技術に磨きをかけての業績をあげた。講義録に『原形質の生理学的研究』(1950)がある。
[柳田為正]