大学事典 「開講式」の解説
開講式
かいこうしき
入学式とは別に,入学式の前に授業の選択,受講の仕方,単位のとり方などについて行われるオリエンテーションの場を指して開講式と呼ぶことが多い。学校以外の社会教育の場でも,この言葉はよく使われる。ヨーロッパ中世の大学では,大学で学ぶに際して入学試験のようなものが実施されたわけではない。一通りのラテン語の知識があれば,希望する者は誰でも大学に「登録する」ことにより入学することを許された。したがって現在の大学に見られるような入学式が行われていたわけではない。授業が始まるにあたって行われる開講の式典が入学式を意味していた。ドイツ語の「immatrikulieren(ドイツ)」(登録する)という言葉には「大学に入学する」という意味があるが,これはアビトゥーアに合格した者が「登録する」ことが大学入学を意味していたことに由来する。中世ヨーロッパの大学では大学の規則を遵守することを宣言し,入学者名簿に署名する一連の儀式が入学式を意味していた。現在でもドイツの大学には,大学入学に際し大学の名簿(マトリケル)に自分の名前を記入する慣習がある。
著者: 木戸裕
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報