改訂新版 世界大百科事典 「間似合紙」の意味・わかりやすい解説
間似合紙 (まにあいがみ)
雁皮紙(がんぴし)の一種で,襖紙(ふすまがみ)としてはられるとともに,書画用紙としても使われた。名称の由来は,襖の半間の幅(3尺。約90cm)に継目なしにはるのに,間に合うの意味といわれ,鎌倉時代から現れてくる(初出は《祇園執行(ぎおんしゆぎよう)日記》建治4年(1278)の条)。中世の障壁画の用紙としても使われている。江戸時代の間似合紙の産地としては,越前紙(福井県越前市の旧今立町)と名塩紙(兵庫県西宮市塩瀬町名塩)が群を抜いた存在であった。当時,越前の間似合紙が雁皮原料のみの生漉き(きずき)間似合紙を特色とするのに対し,摂津(名塩)の間似合紙は,雁皮原料に地元特産の岩石の微粉を混入した粉入り間似合紙を特色とした。今日もなお,名塩では数軒が間似合紙を漉いている。漉き方は独自のゆるやかな溜漉きで,紙の寸法は〈五寸広〉と〈二寸広〉に大別される。五寸広とは,天地が1尺5寸,幅(行)が3尺1寸5分で,襖片面に4枚はれる。二寸広とは天地1尺2寸,幅3尺1寸5分で,襖片面に5枚はれる。
執筆者:柳橋 真
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報