阿尾城(読み)あおじょう

日本の城がわかる事典 「阿尾城」の解説

あおじょう【阿尾城】

富山県氷見(ひみ)市にあった山城(やまじろ)。現在の氷見市街の北、富山湾に突き出した標高30~40mの崖上に築かれていた城である。前田利太(としたか)(慶次)ゆかりの城で、しばらく城代をつとめたことでも有名である。永禄年間(1558~70年)の築城ともいわれるが、築城時期や築城者、初期の城主などは不明。出土遺物からは15世紀後半ごろには城としての利用が始まったとも推定されている。城主として登場する史料の初見は天正年間(1573~93年)に城主だった菊池氏である。城主の菊池氏は阿尾一帯を治めた在地領主・地頭で、戦国時代には上杉謙信に仕え、能登守護の吉見氏(能登部城)・畠山氏(七尾城)との攻防を繰り広げた。その後、謙信の死後に佐々成政が越中を制圧すると成政に仕え、成政の与力として末森攻めにも従軍した。成政が羽柴秀吉(のちの豊臣秀吉)と対立すると、加賀の前田利家の誘いに応じて成政から離反した。成政は阿尾城の菊池武勝を攻めたが、前田氏の援軍を得た武勝はこれを撃退。秀吉により所領を安堵され、1万石の大名となった。しかしその後、武勝は出家して所領を返上、嫡男菊池安信は加賀藩の家臣となった。阿尾城は、慶長年間(1596~1615年)の初めごろに廃城になった。JR氷見線氷見駅からバスで阿尾下車、徒歩約5分。または同駅から車で約25分。◇大ヶ崎の城ともよばれる。

出典 講談社日本の城がわかる事典について 情報

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