限嗣不動産権(読み)げんしふどうさんけん(英語表記)entail; fee tail

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「限嗣不動産権」の意味・わかりやすい解説

限嗣不動産権
げんしふどうさんけん
entail; fee tail

コモン・ロー上の,土地に対する権利の一つ。この権利の譲与を受けた者は当該土地を第三者に譲渡することができず,その死後,土地は直系卑属に代々移転するものである。限嗣不動産権の基本的条件は,この権利の譲与を受けた者が直系卑属なくして死亡した場合,土地は譲与者に復帰するということである。限嗣不動産権の概念は封建的起源もち,広大な所領が分割相続や相続人の不存在によって分割されてしまうことの防止に役立ったことから,土地を紐帯とする貴族社会を支えていた。イギリスでは何度かの制定法による改革によって,今日では限嗣不動産権の保有者は,その土地を単純捺印証書 simple deedやさらには遺言によって第三者に譲渡することが認められている。植民地時代のアメリカの主として中部南部諸州においては,限嗣不動産権が存在していたが,現在,大半の州は 1776年に T.ジェファーソンがバージニア州のために起草した制定法にならって,廃止している。

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