陶庵夢憶(読み)とうあんむおく(その他表記)Tao-an meng-yi

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「陶庵夢憶」の意味・わかりやすい解説

陶庵夢憶
とうあんむおく
Tao-an meng-yi

中国の随筆。明末清初の張岱 (ちょうたい) の著。清の乾隆年間 (1736~95) の刊。「陶庵」は著者の号。張岱は江南屈指の名門嫡子で,豪奢をきわめた風雅な生活をおくったが,明朝滅亡に際し家財を投じて抗清に協力,やがて敗残の身を会稽山中に隠し,明一代の歴史を『石匱 (き) 書』と題してまとめるかたわら,本書を著わした。栄華にふけった前半生と,それを取巻く明末江南の繁華世相を一場の夢と観じ,追慕して綴ったもので,行事,遊楽,飲食,器物などについての思い出を精緻な筆で淡々と描く。中国歴代の随筆中でも有数の作品とされる。

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