陸抗(読み)りくこう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「陸抗」の意味・わかりやすい解説

陸抗
りくこう
(226―274)

中国、三国呉(ご)の官僚。字(あざな)は幼節(ようせつ)。呉(ご)郡呉県(江蘇(こうそ)省蘇州(そしゅう)市)の人。「呉の四姓(しせい)」を代表して、孫策(そんさく)の娘をめとっていた陸遜(りくそん)の長子。孫策の外孫となる。呉最後の皇帝である孫晧(そんこう)のときに、鎮軍(ちんぐん)大将軍として、呉の防衛の責任者となった。このころ、魏(ぎ)を滅ぼした晋(しん)は、荊州(けいしゅう)の都督(ととく)に羊祜(ようこ)を任命しており、陸抗と羊祜は敵でありながら、相互に尊敬しあい、厚い交わりを結んでいた。陸抗があるとき、酒を羊祜に贈ると、羊祜は(毒が入っていないかと)まったく懸念することなく、それを飲み、陸抗が病気になったとき、羊祜が薬を贈ると、陸抗も心から感謝してそれを服用したという。国境地帯で友好関係が結ばれていることを聞いて、孫晧は陸抗を詰問した。病が悪化していた陸抗は、羊祜との関係を弁明するとともに、荊州からの侵攻に備えるべく西陵(せいりょう)郡の守備を強化すべきことを説いたが、聞き入れられなかった。陸抗の予想どおり、荊州から、そして蜀(しょく)からの晋軍の侵入により呉は滅亡した。

[渡邉義浩]

『渡邉義浩著『「三国志」軍師34選』(PHP文庫)』

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