改訂新版 世界大百科事典 「雅慶」の意味・わかりやすい解説
雅慶 (がけい)
生没年:925-1012(延長3-長和1)
摂関政治時代の京都勧修寺の僧。宇多天皇の孫。式部卿敦実親王の子。左大臣源雅信や真言宗広沢流の祖寛朝の弟。955年(天暦9)4月に三論・真言兼宗の勧修寺別当になり,975年(天延3)3月に東寺に入り,寛朝などにつき指導をうけた。988年(永延2)に東寺長者,999年(長保1)8月には東大寺別当になり,1011年(寛弘8)に大僧正に補せられ,その勢威は貴種としての出自と藤原道長を背景に宗教界を圧した。東大寺別当辞任後に,東大寺領春日庄内に今木庄を作ろうとして,公験を偽造し,東大寺との間に論争がおこり,東大寺別当在任中に補佐の任にあった権別当澄心から,再三にわたって直訴された。《東大寺文書》の中には雅慶直筆の文書が伝えられている。
執筆者:堀池 春峰
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報