雨量因子(読み)うりょういんし(英語表記)rain factor

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「雨量因子」の意味・わかりやすい解説

雨量因子
うりょういんし
rain factor

降水量と年平均気温の比。リヒアルト・ラング土壌気候との間に密接な関係があることに着目,1920年に発表した指数で,気候の乾湿の程度を総合的に表現した最初のもの。年降水量(mm)÷年平均気温(℃)で表されるが,年平均気温(℃)の算定には 0℃以上の月の平均気温だけを合わせて 12で割ったものを用いる。雨量因子と気候との関係は,0~20で砂漠,20~40で半砂漠,40~60でステップかサバナ,60~100で低木林,100~160で高木林,160以上で高原かツンドラとなっている。東京の年降水量は 1466.7mm,年平均気温は 15.9℃であるから,雨量因子は 92.2となる。また雨量因子と土壌との関係は 40以下で塩類土,40~60の場合は年平均気温によってさらに三つに分類され,気温 20℃以上でラテライト,14~20℃で赤色土,14℃以下は黄色土,さらに 60~100で褐色土,100~160で黒色土,160以上はポドゾル,ツンドラとなっている。ラングの雨量因子と同系列の指数には,エマニュエル・マルトンヌやウラジーミル・ケッペン乾燥限界乾燥指数があり,さらに進んで蒸発考慮に入れたものとしてチャールズ・ソーンスウェイトの降水効率(P-E指数)がある。

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法則の辞典 「雨量因子」の解説

雨量因子【rain factor】

気候条件と土壌タイプ分布を関連づけるために,ラング(R. Lang)によって導入された気候指標.RF と略されるが,気候の乾湿度を表現する値で RFr/&Tmacr;0 で与えられる.r は年間降水量(ミリメートル数),&Tmacr;0 は0℃ 以上の月平均気温の積算値である.

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世界大百科事典(旧版)内の雨量因子の言及

【気候示数】より

…気候は日射,気温,湿度,降水量,蒸発散量,風向,風速などの気候要素から成っていると考えると,それらの気候値の組合せによって気候を表現することができる。その組合せ方の一つとして考案されたのが,いくつかの気候要素の関数として気候を表現する方法で,土壌学者R.ラングが考えた雨量因子がその最初である。
[雨量因子rain factor]
 ラングの雨量因子ともいう。…

※「雨量因子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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