朝日日本歴史人物事典 「静安」の解説
静安
生年:延暦9(790)
平安前期の法相宗の僧。仏名会(仏名懺悔の法会)を広めたことで知られる。西大寺の常騰に師事。元興寺に属したが,近江国(滋賀県)比良山で,『仏名経』に基づいて一万三千仏の名号を唱え罪障を懺悔する仏名会を行う。これが評価されて,承和5(838)年律師となり,同年初めて宮中仏名会,また同7年にも初めて灌仏会が行われ,いずれも導師を勤めた。これらの法会は以後,宮中の年中行事となる。弟子の賢真は,静安が比良山に建てた妙法,最勝の2寺を官寺とし,賢護は一万三千仏名画を宮中および各国府に安置することを提言して裁可された。また静安は和邇泊(滋賀県滋賀郡,琵琶湖の要港)を造った。
(岡野浩二)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報