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灌仏会 かんぶつえ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

灌仏会
かんぶつえ

仏教行事の一つ。降誕会ともいう。釈尊の誕生日と考えられる4月8日に,誕生仏に香水,甘茶などを頭頂から注ぐ法会。釈尊誕生の際,竜が天から降りて香水を注いだという説による。右手で天を,左手で地をさす立像の誕生仏を,種々の草花で飾った花御堂に安置し,甘茶を注ぐのが一般的形式。インドでもこの行事が行われたという経典の記述があり,中国では7,8世紀頃から普及した。日本では奈良時代にはすでにこの風習があったことが,その時代の誕生仏が現存していることからうかがわれる。現在は,花祭として各宗に通じる仏教行事となり,一般化されている。

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知恵蔵の解説

灌仏会

灌仏会とは、4月8日の釈迦(ゴータマ・シッダッタ)誕生を祝う仏教行事のことである。釈迦誕生のときの姿である、右手で天、左手で地を指して「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」と唱える誕生仏の像を、花御堂(花で飾った小さなお堂)の中に置き、この像に甘茶をひしゃくですくってかける。信者の子どもたちが集まり、甘茶の接待のほか、献花や舞踊、合唱や稚児行列などの様々な行事も行われている。一般には、「花まつり」の名で仏教系の幼稚園などの年中行事になっており、俳句の語としても広く親しまれている。
仏教を開いた釈迦は、紀元前4世紀(いくつかの異説がある)ごろインドの北に生まれた。この日が旧暦4月8日であり、竜王が天から下って香水を釈迦にそそぎかけ、洗い清めて産湯としたという故事にちなんで儀式が行われる。灌仏会は飛鳥時代に日本に伝わり、現在は多くの仏教寺院で営まれ、仏生会(ぶっしょうえ)、降誕会(ごうたんえ)、仏誕会(ぶったんえ)などと呼ばれることもある。釈迦が悟りを得た旧暦12月8日の成道会(じょうどうえ)、釈迦が入滅(死去)した旧暦2月15日の涅槃会(ねはんえ)と共に三大法会(ほうえ)とされている。

(金谷俊秀 ライター / 2009年)

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百科事典マイペディアの解説

灌仏会【かんぶつえ】

花祭

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世界大百科事典 第2版の解説

かんぶつえ【灌仏会】

仏教の年中行事の一つ。釈迦が誕生したといわれる4月8日,すべての仏寺で行われる法会であり,日本では花御堂の中央におく水盤の中で,小さい金銅の誕生仏の像の頭上に甘茶を(そそ)ぐ祭りをいう。古くは,仏生会(ぶつしようえ),仏誕,降誕会,浴仏斎,竜華会(りゆうげえ)などの名があるが,今では,民族のちがいを超えて国際化し,世界各地の仏教徒がこれに参加する。元来は,インド仏教徒のあいだに,釈迦の誕生に関する奇瑞を伝えて,九竜が天より下って香水でその身を灌浴し,地下より蓮花がわき出て足を支えたとし,また釈迦は四方に周行すること7歩,左手をあげて天を指し,右手を下げて地を指し,天上天下唯我独尊と叫んだという,いわゆる八相成道(はちそうじようどう)の説があって,早くこれを仏教徒共同の祭りとする風が生じた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

灌仏会
かんぶつえ

4月8日、釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)の降誕日を祝い、仏像を灌沐(かんもく)(水を注ぎ洗い清める)する仏教の儀式。仏生会(ぶっしょうえ)、降誕会(こうたんえ)、浴仏会(よくぶつえ)ともいい、一般には花祭(はなまつり)とよんでいる。釈迦降誕のとき竜王が香水を注いだという伝説にちなみ、花御堂(はなみどう)の中に誕生仏を安置し、灌仏偈(かんぶつげ)を唱えながら香湯または甘茶を注ぐ。誕生仏は右手で天を、左手で地をさした立像で、釈迦が降誕した際に「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」と宣告したという相を表している。仏誕の灌沐は、釈迦八相(はっそう)(釈迦が教化(きょうけ)のため一生の間に示した8種の相)の一にあげられ、インドでも古い石刻などによって広く行われたことが伝えられており、また灌仏会もインド、西域(せいいき)で盛んに行われた。中国でも三国時代に行われており、唐(とう)・宋(そう)代に盛んとなった。日本では推古(すいこ)朝(592~628)から行われていたともいう。840年(承和7)には宮中で灌仏会が行われ、のち一般寺院へも普及した。
 なお、将来の世に弥勒菩薩(みろくぼさつ)が兜率天(とそつてん)から下り生まれて、竜華樹(りゅうげじゅ)の下で悟りを開くといわれ、その出現を待つ法会という意味で竜華会ともいう。[中尾良信]

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世界大百科事典内の灌仏会の言及

【アマチャ(甘茶)】より

…【新田 あや】 甘茶は甘葛(あまずら)との区別が古来明確でなかったから,文献には見られぬが,砂糖が普及するまでは甘味料として飲食に供されていたと思われる。4月8日の灌仏会(かんぶつえ)には各所の寺院で花御堂を作り,誕生仏に甘茶をそそぐ。また,参詣者は甘茶をもらって持ち帰り,それで墨をすって,〈千早振る卯月八日は吉日よ神さけ虫を成敗ぞする〉という歌を書いて便所などにはり,虫除(むしよけ)のまじないとした。…

【誕生仏】より

…釈迦の降誕の姿をあらわす仏像で,灌仏会(かんぶつえ)(花まつり)の本尊である。釈迦は生まれてすぐ四方に7歩ずつ歩み,右手で天,左手で地を指さし,〈天上天下唯我独尊〉(わたくしは世の中の最勝者である)といったと伝える。…

【ベーサカ祭】より

…南方仏教で,釈迦の誕生,成道(じようどう),入滅を祝って行われる祭り。中国や朝鮮,日本などの北伝(大乗)仏教では,釈迦の誕生,成道,入滅はそれぞれ別の日のこととされ,それらの日ごとに祝われる(たとえば,4月8日の降誕会(ごうたんえ)または灌仏会(かんぶつえ),12月8日の成道会(じようどうえ),2月15日の涅槃会(ねはんえ)など)。一方,スリランカやミャンマー,タイなど南方仏教の諸国では,これらはいずれもインド暦で第2月とされるバイシャーカvaiśākha月の満月の日のこととされ,毎年,この日にあたる5月末から6月初めの満月の日を中心に,盛大な祭りが行われる。…

※「灌仏会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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