特殊相対性理論によると,速度vで動いている質量mの質点のエネルギーは,
で与えられる。ここでcは光速度である。v=0とおくとE=mc2となり,これが有名なアインシュタインの関係式である。ところで上のv≠0に対する式を,v=0の式にならってE=m(v)c2と書くと,
となる。これは,質量m(v)は速度とともに増加し,v→cで∞になることを示す。すなわち,一定の力を加えた場合,速度が大きくなるほど加速しにくくなることを意味する。どんなに加速しても質点の速度を光速以上にすることができないのはこのためである。このように,速度に依存して変化する質量m(v)に対して,元来の質量m(これはm(0)に等しい)のことを,とくに静止質量という。
→質量 →相対性理論
執筆者:藤井 保憲
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
倍に増加する ( c は真空中の光速度 ) 。この質量を相対論的質量という。ニュートン力学でいう質量は静止質量である。
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…(V/c)2≪1のときには, mc2=m0c2+1/2m0V2となることが容易に示され,右辺の第2項は通常のニュートン力学の運動エネルギーなので,物体はV=0のときにも第1項のm0c2で表されるだけのエネルギーをもっていると考えねばならない。これを静止エネルギーといい,このときの質量を静止質量と呼ぶが,これはある意味で質量とエネルギーの同等性(換算率c2)を示すものといえる。温度が高いほど物体のもつエネルギーは大きくなるので,この考えだと,高温にした物体は低温のときより質量が増すはずであるが,その差は小さすぎてとうてい測定できない。…
※「静止質量」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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