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質点 しつてんmaterial point; material particle

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

質点
しつてん
material point; material particle

質量をもつ点状物体。物体の運動の力学を単純化して論じるための仮想的物体である。実際の物体は大きさや形をもつから,その運動には物体全体としての位置の変化 (→並進運動 ) のほかに複雑な回転運動も考えなければならない。しかし,太陽のまわりの地球の公転運動のように,物体の大きさに比べて非常に大きい範囲の運動では,回転運動を無視して,物体を全質量が重心に集中した仮想的な質点とみなして,その運動を考えればよい。質点の運動はニュートンの運動方程式 (質量)×(加速度)=(力) によって論じられるので,物体に必要な最小限の力学的特性は質量だけであって,大きさや形を無視した点状物体でよい。大きさをもつ実在物体を質点の集り (→質点系 ) であるとみなせば,物体の運動 (回転運動を含めて) は,質点の力学を基礎にしニュートン運動方程式を発展させた運動方程式を用いて論じることができる。

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デジタル大辞泉の解説

しつ‐てん【質点】

質量だけあって大きさのない点状の物体、すなわち抽象体。物体の運動や位置を考える際、物体をその重心に全質量が集まった点と見なしたもの。

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百科事典マイペディアの解説

質点【しつてん】

力学で物体の運動を調べるとき,物体の大きさを無視し,全質量が1点に集まったと考えると,取扱いがたいへん簡単になる。このような仮想の点を質点という。物体の運動は1質点の運動で代表でき,距離に比べて物体の大きさがごく小さい場合(惑星運動など)は質点とみなせる。
→関連項目運動エネルギー運動の法則角運動量保存の法則慣性モーメント三体問題重心(物理)力学

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世界大百科事典 第2版の解説

しつてん【質点 particle】

物体の運動を考えるときに,大きさを度外視して物体を1点で代表させ,物体を単に質量をもった点として扱うとき,これを質点という。微視的な粒子でもその内部構造(の変化)を問題にするときには質点とは考えないが,地球のように大きな物体も太陽のまわりの運動を考えるときには質点として扱うことができる。そのような場合に質点の運動で表されているのは重心の運動である。斜面を転がり落ちる球のような場合には,重心運動のほかに回転運動を無視できないので質点とはみなせない。

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大辞林 第三版の解説

しつてん【質点】

理想化された点状の物体。質量だけあって大きさがなく、位置だけを占める。物体が運動の範囲に比べてきわめて小さい場合、あるいは回転を考えなくてもよい場合には、どんな物体も質点とみなすことができる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

質点
しつてん

質量をもつ点状の物体をいう。すなわち、剛体から有限の大きさと形を取り去った一つの抽象物である。しかし、現実の物体の運動を研究するときに、重心運動の自由度についてだけ考慮するならば、その物体は質点とみなされる。たとえば地球のように巨大な物体でも、その太陽の周りの軌道運動(公転)は質点として取り扱うことができる。反対に、種々の物体を質点の集まり(質点系)とみなすこともでき、これによって、有限の大きさと形をもつ連続体を無数の質点の集まりと考え、質量の力学を基礎として考察することができる。このように質点は、一面では現実の物体の力学的基礎であり、また他の面ではそれの抽象物である。[宮原将平]

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世界大百科事典内の質点の言及

【運動】より

…たとえば後の場合糸の張力Tmv2/lでなければならない。束縛運動
【質点と質点系】
 ここまでのところで,漠然と物体と呼んですませてこられたのは,実は運動に際してその物体の大きさを気にする必要のない場合を考えていたからである。このような場合力学ではもう少し厳密に,質量をもつが点と考えてよい理想化された対象すなわち質点という概念を導入する。…

【重心】より

…計算には積分が使われる。 大きさのある物体が外力によって運動するときに重心の行う運動は,物体の全質量と同じ質量をもつ質点に外力の合力が加えられたと仮定した場合に,その質点が行う運動に等しい。したがって,物体を質点とみなすのは,重心運動だけに着目するということにほかならない。…

※「質点」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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