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物体の運動を考えるときに,大きさを度外視して物体を1点で代表させ,物体を単に質量をもった点として扱うとき,これを質点という。微視的な粒子でもその内部構造(の変化)を問題にするときには質点とは考えないが,地球のように大きな物体も太陽のまわりの運動を考えるときには質点として扱うことができる。そのような場合に質点の運動で表されているのは重心の運動である。斜面を転がり落ちる球のような場合には,重心運動のほかに回転運動を無視できないので質点とはみなせない。大きさをもったふつうの物体は質点が集まった質点系system of particlesとして扱う。原子や電子のような微視的粒子にまで還元すれば確かに質点系といえようが,巨視的に考え物体を連続体とみる立場でも,それを微小部分に分けてそのおのおの(それは多数の原子を含むとみてよい)を質点と考えれば,ニュートンの運動の法則が適用できる。流体力学などもそのような考えをもとにしてつくられている。
執筆者:小出 昭一郎
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
質量をもつ点状の物体をいう。すなわち、剛体から有限の大きさと形を取り去った一つの抽象物である。しかし、現実の物体の運動を研究するときに、重心運動の自由度についてだけ考慮するならば、その物体は質点とみなされる。たとえば地球のように巨大な物体でも、その太陽の周りの軌道運動(公転)は質点として取り扱うことができる。反対に、種々の物体を質点の集まり(質点系)とみなすこともでき、これによって、有限の大きさと形をもつ連続体を無数の質点の集まりと考え、質量の力学を基礎として考察することができる。このように質点は、一面では現実の物体の力学的基礎であり、また他の面ではそれの抽象物である。
[宮原将平]
…たとえば後の場合糸の張力Tはmv2/lでなければならない。束縛運動
【質点と質点系】
ここまでのところで,漠然と物体と呼んですませてこられたのは,実は運動に際してその物体の大きさを気にする必要のない場合を考えていたからである。このような場合力学ではもう少し厳密に,質量をもつが点と考えてよい理想化された対象すなわち質点という概念を導入する。…
…計算には積分が使われる。 大きさのある物体が外力によって運動するときに重心の行う運動は,物体の全質量と同じ質量をもつ質点に外力の合力が加えられたと仮定した場合に,その質点が行う運動に等しい。したがって,物体を質点とみなすのは,重心運動だけに着目するということにほかならない。…
※「質点」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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