精選版 日本国語大辞典 「力学」の意味・読み・例文・類語
りき‐がく【力学】
りょく‐がく【力学】
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物体に力が働いたときどのような運動を行うか、運動の原因としての力とそれによる運動に関する法則を明らかにする学問で、自然の構造を解明するうえでもっとも基本的な役割をもつ。17世紀末ニュートンによって、慣性の法則、運動の法則、作用・反作用の法則の三法則として確立された。20世紀になって、光速度に近い速さで運動する物体については相対論として、また原子のような微視的粒子については量子力学として発展し、それぞれの体系ができあがっている。通常、相対論・量子力学を含めない力学をニュートン力学、相対論まで含めて古典力学とよぶ。ニュートン力学は剛体、弾性体、流体などにも適用され、それぞれの力学の分野が形成されている。また統計力学は、非常に多数の粒子の集合体に適用し統計的にその集合体の総括的な性質を導くものである。以下では、ニュートン力学に限る。
ギリシア時代に、土木・建築工事などを通じて、てこ・斜面・浮力などに関する静止した物体の力のつり合いについては、定量的な認識がかなり得られ、静力学とよばれる力学の分野がほぼできあがった。物体の運動を扱う動力学については、当時の人力・畜力のような接触力と摩擦の多い運動の経験からでは表面的な認識しか得られなかった。また天体運行の動因を自然界そのものに帰す考えには、自然哲学は別として、到達できなかった。16世紀ころ、生産技術の発達とともに技術・科学に従事する人々の層も広がり、17世紀には実験・観測手段が発達した。コペルニクスは天体運行の記述の数学的簡潔さと合理性から地動説を唱え、ガリレイは望遠鏡により他の惑星の地球との類似性を直接観測し、ケプラーはティコ・ブラーエの残した精密な観測データから、惑星運動について、太陽を焦点とする楕円(だえん)軌道であることなど三つの法則を発見した。ガリレイは物体の運動を実験的に調べ、落下の法則や慣性の法則をみいだした。ニュートンはこれらの成果のうえに、地上の物体と天体の運動とを統一することによって、万有引力を発見するとともに、力学の体系を三つの法則に定式化した。仮説と実証、分析と総合など体系的認識の手法が用いられることにより、力学が近代科学として初めて成立した。力学は、多くの実験や生産への適用によってその正しさが確かめられ、19世紀には解析力学として体系的に整備された。またそれに伴い、自然の現象がすべて力学の法則に基づいて決定されているとする力学的自然観を生んだ。
慣性の法則は、物体は外部からの影響が及ばないという極限の状況では、静止または等速直線運動の状態を続けるということを述べたものである。慣性の法則は、物体の運動がそのように記述される座標系が存在することを主張しており、その座標系を慣性系という。慣性系を基準にしたときに、物体のその状況からの変化を引き起こすものが力である。この運動の変化は加速度aによって表されるので、加速度を生じる原因として力を規定している。同じ力が働いても、生じる加速度が物体によって異なるので、各物体はそれぞれ固有の質量mをもつとし、このときの力をFとすると、運動の法則はma=Fという量的関係式で表される。mは同じ力に対して加速度と逆比例の関係にあり、物体の慣性の大小を示しているので慣性質量とよばれる。初期条件が与えられると、この関係式から運動が定まる。作用・反作用の法則は、2個の物体が相互に及ぼし合う力は両者を結ぶ直線方向に働き、それぞれ大きさは等しく向きは反対であることを内容としている。外部からの力が働かない集合体全体の運動量や角運動量は保存するが、これは作用・反作用の法則の現れである。
[永田 忍]
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…こうして古代ギリシア・ローマ世界の運動観は,さまざまな考え方の可能性を重ね合わせた状態にあったということができよう。 近代科学の成立とともに,運動の問題は,もっぱら物理学とりわけ力学的側面に集約されていくが,それは,このようなギリシア的な運動観のなかから,強制運動,つまり運動力と運動の関係のみに視点を据えた論点に,するどく照明を当て,他の運動観をそれぞれ別個の場所へと分類した上で捨て去った結果であった。その意味で,運動に関する統一的視点は,近代の深まりとともに失われていく。…
…第1に彼らは例外なく,依然として自然学を聖なる構造のなかで(つまりキリスト教神学の有機的一部として)とらえており,第2には,彼らの多くはルネサンスの自然観に濃厚に浸されていて,ニュートンの体系でさえ今日の物理学の性格とはおよそ異なった神秘的な要素を色濃くもっていた。自然
[原子論的発想と力学]
しかし,18世紀以降しだいにあらわになる〈物理学的〉(と呼びうる)な態度は,前代のそうした人々の仕事のなかのある特定の部分を誇張し選別して凝縮した結果として成立したものであるといえよう。ここでいう〈物理学的〉態度とは,おおまかにいえば二つに分類される。…
※「力学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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