化学辞典 第2版 「非結合軌道」の解説
非結合(性)軌道
ヒケツゴウセイキドウ
nonbonding orbital
主として奇数個の交互炭化水素に見いだされる非結合性の軌道.ヒュッケル近似による計算では,一般にπ電子の分子軌道は,クーロン積分αをはさんで結合性軌道と反結合性軌道とが対称に分布する.たとえば,ベンゼンでは図(a)のようになる.一方,ベンジル基では図(b)のように,αの位置に軌道が一つ追加される.これを非結合性軌道という.奇数個の交互炭化水素の大部分は非結合性軌道を有するが,偶数個の交互炭化水素でもm-キノジメタンのように,不対電子のない構造式を書けない化合物は非結合性軌道をもつことができる.非結合性軌道は遊離基の反応性や電子スピン共鳴(ESR)スペクトルの研究に有用である.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報