日本大百科全書(ニッポニカ) 「鞍山鋼鉄公司」の意味・わかりやすい解説
鞍山鋼鉄公司
あんざんこうてつこんす
中国遼寧(りょうねい/リヤオニン)省にある製鉄企業。1918年南満州鉄道株式会社(満鉄)が鉄鉱石産地の鞍山に設立した鞍山製鉄所がその前身。鉱石が低品位のため低迷を続けたが、還元焙焼(かんげんばいしょう)技術の開発で採算性を高めた。満州事変(1931~1932)後、日本が中国東北地方を支配するなかで「満州国」の産業の根幹とされ、1933年満鉄の子会社昭和製鋼所となって採鉱から鋼材生産までの一貫作業を手がけた。1938年に日産系の満州重工業の傘下に入り、1943年には銑鉄130万トン、鋼材45万トンの規模に達した。その後は鉱石、原料炭とも華北産への依存が強まり、労働力不足や在華米軍の爆撃もあって生産は急落した。第二次世界大戦後、中国側が回収、重点的な復興と拡張が行われた。第二次五か年計画初年の1958年の生産量は銑鉄520万トン、鋼材315万トンといわれる。その後、一貫して拡張と生産性の向上および、製品の多様化が図られ、中国最大の鉄鋼コンビナートに発展している。
[岡部牧夫]
その後の動き
2009年時点で、資本金72億3400万元、総資産921億元。自動車用鋼板、冷延鋼板を主力製品とする。2008年の売上高は796億元で、銑鉄1607万トン、粗鋼1599万トン、鋼材1498万トンを生産。
[編集部]