鞭打ち（読み）ムチウチ

デジタル大辞泉

むち‐うち【^×鞭打ち／^×鞭ち】

１ 鞭で打つこと。
２ 江戸時代、拷問ごうもんの一。被疑者を後ろ手に縛り、左右の手首を両肩の下まで締め上げ、箒尻ほうきじりと呼ばれる拷問杖でたたくもの。
３ 「鞭打ち症」の略。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

むち‐うち【鞭打・鞭】

1. 〘 名詞 〙
2. ① 鞭で打つこと。鞭でたたくこと。
3. ② 江戸時代、拷問(ごうもん)の一種。被疑者を後ろ手に縛り、左右の手首を両肩の下までしめあげ、箒尻(ほうきじり)（=拷問杖）で両肩をたたくもの。一回に一五〇ぐらいたたいたという。石抱(いしだき)・海老責(えびぜめ)と合わせ、牢問(ろうもん・ろうとい)と総称された。縛敲(しばりたたき)。
   1. [初出の実例]「前の笞打拷問にて、白状せざる時は、直に石抱にかかるなり」(出典：佐久間長敬拷問実記（1892頃）)
4. ③ 馬の体で、鞭のあたるところ。
   1. [初出の実例]「此馬、鞭(ムチ)打に三日の月程なる月影の有りければ」(出典：源平盛衰記（１４Ｃ前）三七)
5. ④ 江戸時代行なわれた武術。割竹を革袋に入れた竹刀による打ち合いの競技。騎馬によって多く行なわれた。
   1. 
      鞭打④〈江戸図屏風〉
   2. [初出の実例]「御供の輩捶打せさせて御覧じたまふ（この頃世に捶打、鞭打といふは、しなひ打して刀法を試るなり）」(出典：徳川実紀‐寛永一三年（1636）一二月二二日)
6. ⑤ 「むちうちしょう（鞭打症）」の略。

出典　精選版 日本国語大辞典