犯人の自白書の中・近世における称。白は申(もうす)の意。罪状を個条書にしたものや,糾問者との問答形式をとるものなど,様式は一定しないが,必ず末尾に犯人の署判がある。鎌倉幕府は御成敗式目において共犯者の認定の際,犯人の白状よりも贓物の有無に証拠能力を認め,また1253年(建長5)の撫民法においてその領民の被疑者に対し,拷問を加えて強制的に作成させた圧状を責めとり,これを白状と称して断罪することを禁じている。このように鎌倉幕府の刑事裁判では白状の証拠能力は低く,また任意の自白による白状がたてまえとされていることが知られるが,在地領主などの検断沙汰においては,圧状的な白状と,それにもとづく処刑が一般的であった。中世後期にはたんなる自白の意味の白状の用法もみられるようになるとともに,鎌倉幕府の物証主義は定着せず,白状の刑事裁判における証拠能力および任意性は表面的にはしだいに強化される傾向をしめし,江戸時代にいたる。
執筆者:勝俣 鎮夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…町奉行所では吟味方与力が白洲とは別の場所で取り調べた。審理は被疑者の自白(白状)を得ることを目的とし,その犯罪事実は役人が書式に従って口書(くちがき)に録取した。口書ができると奉行は法廷に出座し,事件(一件)の関係者一同を集め,役人が口書を読み聞かせて(口書読聞(くちがきよみきけ))押印させ,あるいはすでに押印させた口書を確認させた(口書口合(くちがきくちあわせ))。…
※「白状」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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