(読み)ハ

デジタル大辞泉 「頗」の意味・読み・例文・類語

は【頗】[漢字項目]

人名用漢字] [音]ハ(呉)(漢) [訓]すこぶる
一方に偏って正しくない。「偏頗へんぱ

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精選版 日本国語大辞典 「頗」の意味・読み・例文・類語

すこ‐ぶる【頗】

  1. 〘 副詞 〙
  2. 多くはなく、やや。すこしく。いささか。ちょっと。それ相当に。すこむる。
    1. [初出の実例]「抑説き給ふ経の文についてすこふるうたがひあり」(出典:観智院本三宝絵(984)中)
    2. 「北山東西ことごとく焼野原と成て、すこぶる残る所は将軍の御所計也」(出典:応仁略記(1467‐70頃か)下)
  3. かなりの程度であるさま。たいそう。非常に。はなはだ。
    1. [初出の実例]「此小身を観る者前想頗(スコフル)知り難し」(出典:極楽遊意長承四年点(1135))
    2. 「すこぶる空腹になってきた」(出典:黄表紙・米饅頭始(1780))

頗の補助注記

「すこし」「すくなし」などの語根に、「ひたぶる」などと同じ接尾語のついたものか。


すこ‐むる【頗】

  1. 〘 副詞 〙すこぶる(頗)
    1. [初出の実例]「裏口は裏ゆきすこむるありげに見ゆ」(出典:随筆・孔雀楼筆記(1768)二)

そこぶる【頗】

  1. 〘 副詞 〙 「すこぶる(頗)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「すがたをしっして、そこぶるはやく、いたいたしくひくべきなり」(出典:胡琴教録(13C初)下)

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普及版 字通 「頗」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 14画

[字音] ハ・ヒ
[字訓] かたよる・すこぶる

[説文解字]

[字形] 形声
声符は皮(ひ)。〔説文〕九上に「頭(かたよ)れるなり」とあり、姿勢が一方に傾く状態をいう。すべて中正を失することを偏頗(へんぱ)という。〔書、洪範〕に「無く頗無く、王の義に(したが)ふ」とみえる。「すこぶる」という訓は「少し」を活用したもので、もとは少の意である。

[訓義]
1. かたよる、かたむく。
2. よこしま、不公平。
3. すこし、すこぶる、やや。
4. かなり、はなはだ。

[古辞書の訓]
名義抄〕頗 スコブル・モシ・カタシ 〔立〕頗 スコブル・モシ・ヒトヘニ・カタシ・タケシ 〔字鏡集〕頗 カタブク・スコブル・ミダリガハシ・ヒトヘニ・モシ・カタシ

[語系]
頗phuai、(偏)phyen、跛puaiは声義に通ずるところがあり、すべて平衡を失った状態をいう。

[熟語]
頗僻頗偏
[下接語]
険頗・側頗・不頗・偏頗・無頗

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