儒家の経典である五経の一つである『書経』(尚書(しょうしょ)ともいう)のなかの一篇(ぺん)。儒家の世界観に基づく政治哲学の書で、「鴻範(こうはん)」とも書く。洪は大、範は法という意味で、伝説では、夏(か)国の禹(う)が洛水(らくすい)から出てきた神亀(じんき)にあった図によって、九類の政治の大法としたという。洪範九疇(きゅうちゅう)といわれるのがそれで、五行(ごぎょう)、五事、八政、五紀、皇極(こうぎょく)、三徳、稽疑(けいぎ)、庶徴(しょちょう)、五福六極の九つからなっている。すべて政治の要道を項目をたてて説いたものである。なかにおいて五行は、水、火、木、金、土に順序してその特質を述べている。中国思想のものの考え方の根幹となる五行思想はここに始まるとして、洪範の源流を春秋時代、あるいはそれ以前に置く説もあるが、一般的には戦国時代の鄒衍(すうえん)の五行説に影響を受けた思想家が、武王と箕子(きし)に仮託してつくったものとされている。『漢書(かんじょ)』の「五行志」は、この洪範の五行説によって災異説をまとめている。洪範をいつごろのものとみるかによって、『書経』の成立問題は大きく左右される。
[安居香山]
字通「洪」の項目を見る。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
春の時期に労働組合が一斉に賃上げ、労働条件の改善に関する交渉を行なうこと。欧米では、産業別に強力な労働組合が存在し、それらが労働条件改善への闘争を繰り広げて成果を得てきた。だが、日本では企業ごとに労働...
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
7/22 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新