頸管無力症
けいかんむりょくしょう
Cervical incompetence
(女性の病気と妊娠・出産)
子宮口の近くの細長い部分を子宮頸部といい、なかは頸管という筒状になっていて、分娩時には広がって赤ちゃんが通って出てきます。
妊娠して胎児が大きくなってくると、頸管は内側から開いてきて、知らないうちに子宮口が開いてしまい、流早産となってしまうことがあり、これを頸管無力症といいます。子宮収縮が強く起これば、誰でも子宮口が開きますが、収縮がなくても開くのが特徴です。
数百人に1人の割合で、体質的に頸管が弱い人に起こると考えられています。
かつては、純粋な頸管無力症は、最初は無症状で、子宮口が開いて少量の子宮出血があって初めて見つかっていました。今では、経腟超音波検査で妊娠15~20週に頸管を観察すれば、内子宮口から開き始めて頸管が短くなっている人が見つかることがあります。そのままにしておくと、外子宮口から胎児の入る卵膜の袋(胎胞)が出てきてしまいます。
一般的に、最初の妊娠で症状がみられた人は、次の妊娠でも症状が出ます。軽度の症状は、数%の人にみられます。
子宮の収縮により子宮口が開く切迫早産と、頸管無力症は別の病気ですが、開いてくれば収縮も起こるので、両方の要素があるのが普通です。収縮がなくて開いてきたものが、純粋な頸管無力症です。開けば内診でもわかります。
子宮口が開きかけているのが見つかったり、前の妊娠で頸管無力症のため流産になっていたりする時は、早めに頸管をしばる手術(頸管縫縮術)を行います。
開いてからしばる際は、頸管に細菌感染などによる炎症があると、炎症を閉じ込め、かえってすぐに破水を起こし、早産となってしまうことがあるため、安静にして妊娠を延長させます。
子宮収縮がある切迫早産では、頸管縫縮術で治療することはできません。
坂井 昌人
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
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家庭医学館
「頸管無力症」の解説
けいかんむりょくしょう【頸管無力症 Cervical Incompetency】
[どんな病気か]
妊娠中期以降に、切迫流産(せっぱくりゅうざん)(「切迫流産」)の徴候もなしに子宮口がやわらかくなって開いてしまい、やがて破水(はすい)し、流産してしまうものを、頸管無力症といいます。
頸管無力症は、流産のおもな原因となり、一度おこると、つぎの妊娠時も同じようにおこりやすいと考えられています。
[検査と診断]
妊娠中は、内診や超音波検査によって、子宮口の開き具合ややわらかさを調べて診断します。
前回の妊娠が流産や早産だった場合は、妊娠前にバルーンを使った検査や、造影検査などで頸管の状態を把握しておくという試みもされています。
[治療]
子宮口が開き始めたばかりで、流産になる前であれば、子宮頸管を輪状にしばる頸管縫縮術(けいかんほうしゅくじゅつ)が行なわれます。
前回の妊娠で、中期以降に頸管無力症のため流産や早産をしてしまった場合や、妊娠していないときも子宮口が広がっているなどで、今回も頸管無力症が疑われるときは、妊娠4~5か月で予防的に頸管縫縮術を行なうこともあります。
出典 小学館家庭医学館について 情報
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頸管無力症【けいかんむりょくしょう】
妊娠中期以降に,子宮口が柔らかくなって開き,破水,早・流産となってしまうものをいう。開きはじめたときに診断できれば,予防的措置として,頸管縫縮術を行う。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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世界大百科事典(旧版)内の頸管無力症の言及
【出産】より
…軟化の促進にはプロスタグランジン,エストリオールが用いられる。子宮頸管は妊娠中は閉鎖して胎児を子宮内に保持しているが,ときに妊娠中期に陣痛を感ずることなく子宮口が開大して早産になることがあり,これを頸管無力症という。この早産を予防するにはシロッカー法,マクドナルド法による頸管縫縮術を行う。…
※「頸管無力症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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